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甲状腺疾患

甲状腺とは

甲状腺とは甲状腺はのどぼとけの少し下に位置し、重さ約15gで大きさは約4㎝の器官です。
空気が通る気管の後ろに付いており、羽を広げた蝶々のような見た目で、この羽のように見える部位はそれぞれ右葉と左葉と言います。
甲状腺は通常の状態だととても柔らかいため、触れてもどこにあるか分かりません。のど元を触って甲状腺が確認できた場合、腫れが生じていることになります。さらに腫れが大きくなると、見ただけで腫れているのが確認できます。

甲状腺疾患の主な症状

甲状腺ホルモンが増加する
甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺の働きが活発化しすぎることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう状態を指します。なかでもバセドウ病が有名で、発症すると下記のような症状が現れます。

  • 甲状腺の腫れ
  • 疲労感
  • 疲れやすい
  • 食欲亢進
  • 汗っかき、暑がり
  • 体重減少、筋力低下
  • 眼球突出
  • イライラしやすい
  • 集中力が落ちる
  • 頻脈
  • 手の震え
  • 動悸、息切れ

甲状腺ホルモンが不足する
甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが悪くなり、甲状腺ホルモンの分泌が減少した状態を指します。なかでも橋本病が有名で、発症すると下記のような症状が現れます。

  • 疲労感、
  • 疲れやすい
  • まぶたの腫れ
  • 皮膚の乾燥
  • 食欲不振
  • 体重増加
  • 寒がり
  • 徐脈
  • 眠気
  • 動作緩慢
  • 息切れ
  • 記憶力が落ちる

主な甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)

のどぼとけの下にある甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌され、このホルモンは新陳代謝を上げる働きがあります。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が活発になりすぎる病気がバセドウ病です。主な症状として、頻脈、甲状腺の腫れ、眼球突出の3つが挙げられ、息切れや動悸といった症状を感じるようになります。
20代~40代頃の女性がバセドウ病を発症しやすく、男性の3~5倍多いと分かっています。なお、発症の可能性は全年齢の方にあります。

バセドウ病は、ドイツ人の医師が報告したため、その方の名前が病名の由来になっています。また、英語圏では病気を報告した別の医師の名前を取り、「グレーブス病」と呼ばれることが一般的で、その他に「バセドー病」、「バセドウ氏病」といった呼び名で呼ばれる場合もあります。

甲状腺機能低下症(橋本病)

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌が減少して新陳代謝が低下する病気で、バセドウ病と反対の状態になります。主な病気に橋本病が挙げられます。
発症すると、やる気や記憶力の低下が起き、認知症のきっかけになる場合もあります。さらに、全身のむくみ、寒がりになる、髪が抜けやすい、肌が乾燥してカサカサになるといった症状や、眠気を常に感じるためボーっとすることが多くなります。

亜急性甲状腺炎

甲状腺の中にある甲状腺ホルモンが血中に流出することで、血中に甲状腺ホルモンが多くなります。風邪を引いた後に発症するケースやウイルスへの感染が原因となるケースもあります。発症しても数ヶ月かけて自然治癒し、甲状腺中毒症も治まります。ただし、再発しやすい体質の方は10~30年後に症状がまた現れる場合もあります。

甲状腺腫瘍

甲状腺腫瘍(悪性)

腫瘍は、異常な細胞が周囲に拡がってできた細胞の塊のことです。腫瘍の中でも甲状腺がんやリンパ腫は悪性腫瘍に分類され、治療しなければいけません。
しかし、甲状腺に固いしこりができても悪性腫瘍は約10%のため、頻発する病気ではないとされています。

甲状腺腫瘍(良性)

異常な細胞が拡がってできた塊で、良性腫瘍に分類され、濾胞腺腫と言います。
甲状腺腫瘍が良性の場合、周りの器官などに転移することは少ないとされており、治療しないケースも少なくありません。しかし、悪性腫瘍の可能性があったり腫瘍のサイズが大きかったりすると、手術を検討する場合もあります。

その他の良性のしこり

甲状腺にできた腫瘍とは異なる種類のしこりは、良性として判断されます。
代表的なものとしては「腺種様甲状腺腫」と「のう胞」が挙げられます。腺種様甲状腺腫は、正常に近い細胞が刺激によって一部が増殖する病気です。一方、のう胞は水分が溜まった袋状のものです。いずれも治療をしない場合が多いです。

甲状腺疾患の診断・検査

問診や触診で症状や状態を確認してから、血液検査などで甲状腺ホルモンの値を調べ、超音波検査も行います。

甲状腺疾患は他の病気と
間違われることが多い

甲状腺疾患は他の病気と間違われることが多い甲状腺疾患である甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症は、うつ病、自律神経失調症、更年期障害などの症状と似ている場合もあるので、間違えて診断されることもあります。
治療しても症状が改善しなかった方で、甲状腺疾患の治療を開始したら、どんどん症状が改善したケースもあります。長年抱えている症状がある方は、甲状腺機能検査を受けてみることをお勧めします。

甲状腺疾患の治療

甲状腺機能亢進症の方は抗甲状腺薬、甲状腺機能低下症の方は甲状腺ホルモン薬で治療を行います。亜急性甲状腺炎の方は経口ステロイド薬を使用する場合もありますが、軽症の場合は経過観察のみで改善することが多いです。なお、良性腫瘍でもサイズが大きい場合や、甲状腺悪性腫瘍の場合は、手術が必要になります。