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1型糖尿病

1型糖尿病とは

1型糖尿病とは1型糖尿病は、HLAなどの遺伝因子と環境因子などが影響して、自己免疫によって膵臓のβ細胞が破壊されることで発症する自己免疫疾患です、その他の自己免疫疾患(甲状腺疾患など)を合併することがあります。膵臓から分泌されるインスリンがほぼなくなり、命の危険にさらされる状態になるので、外部からインスリンを補わなければいけません。
2型糖尿病は乱れた生活習慣が原因で発症することも多いですが、1型糖尿病は生活習慣が原因というわけではなく、子どもから大人まで幅広い世代で発症する可能性があります。

1型糖尿病の原因は?遺伝?

遺伝因子が原因となったり、自己免疫異常、あるいはウイルス感染が発症の引き金になる場合もあります。
通常であれば、免疫が体内に侵入した外敵から体を守ります。しかし、免疫によってインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊されて、インスリンが分泌されなくなることで1型糖尿病を発症します。免疫にこのような異常が起こる理由は、まだ明らかにされていません。

1型糖尿病の
セルフチェック・症状

1型糖尿病のセルフチェック・症状

初期の糖尿病は自覚症状が乏しいことが多いです。早く病気を見つけ出すために、定期的に健診を受けて体の状態を把握するようにしましょう。また、下記のような症状が現れている方は、血糖値が上昇している恐れがあるため、速やかに医師に相談してください。

  • のどの渇き、尿が多い
  • 食べているのに体重が減る 
  • 疲れやすい、体がだるい

1型糖尿病の種類

1型糖尿病は、β細胞が壊されるスピードによって、3つのタイプに分けられます。

劇症1型糖尿病

3つのタイプの中で最も進行が早く、約1週間でインスリンが分泌されなくなるため、速やかにインスリンを補う必要があります。治療が遅れた場合、症状が重くなって糖尿病ケトアシドーシスを発症する可能性が高いため要注意です。急激に症状が進む劇症1型糖尿病は、過去1~2ヶ月のHbA1cは比較的高い数値ですが、8.7%を超えるほど劇的に高いわけではないのが特徴です。

急性発症1型糖尿病

発症すると、3ヶ月以内にインスリンが不足する状態に陥り、インスリン治療が必要になります。採血によって、自分の体を攻撃する自己抗体が過剰に検出されることが分かります。

緩徐進行
(かんじょしんこう)
1型糖尿病

数年かけて少しずつインスリンが不足していく糖尿病です。2型糖尿病と思われている患者さんでも、実は緩徐進行1型糖尿病だったというケースも経験します。血液検査で自己抗体の有無を確認すると正しく診断することができます。

1型糖尿病と
2型糖尿病の違い

1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が分泌するインスリンが足りなくなることで発症するため、インスリンを補いながら治療を行います。
2型糖尿病は1型糖尿病とは違い、インスリンの不足以外にも、生活習慣の乱れ(栄養の偏った食生活や運動不足)や肥満などが発症と関わっていることが多い傾向にあります。そのため、運動療法や食事療法で生活習慣を見直しつつ、お薬の服用やインスリンを補いながら治療を行います。
このように1型糖尿病と2型糖尿病は、原因が先天的なのか後天的なのかで異なるので、それぞれに合わせて適切な治療を行うことが大切です。

2型糖尿病について
詳しくはこちら

1型糖尿病の検査・治療

検査

1型糖尿病の診断には欠かせない自己抗体である抗GAD抗体の測定、さらに糖尿病の基本的な検査である血糖値やHbA1cを調べます。また、血液検査でインスリンがどのくらい分泌されているのか、血液検査か尿検査でケトン体の測定を実施する場合もあります。

治療

患者さんご自身で血糖値を測定して頂き、薬物療法(インスリン注射)を行って不足したインスリンを補うことが必要です。
薬物療法(インスリン注射)は、頻回インスリン療法と持続皮下インスリン注入療法という方法があります。頻回インスリン療法は、1日数回の薬物療法(インスリン注射)をご自身で行って頂く方法です。持続皮下インスリン注入療法は小型のインスリンポンプでインスリンを注入し続ける方法で、血糖が下がったときはインスリンの注入が自動でストップするタイプもあります。
患者さんがどのような方法を望むかによって、治療の進め方を決めていきます。

1型糖尿病の方は
低血糖にご注意ください

お薬を服用中に血糖が低下しすぎる場合があります。血液中のブドウ糖が減少した状態を低血糖と呼び、インスリンの注射量、食事の時間、食べた量などがきっかけになります。血糖が下がりすぎた場合、けいれんや意識を失い昏睡状態になって命に危険が及ぶ可能性があります(人により症状は異なります)。ブドウ糖を常備し、低血糖の症状が現れたら速やかに対応するようにしましょう。

1型糖尿病のQ&A

1型糖尿病で、注意すべきことはありますか?

インスリンの打ち忘れに気を付けて頂く必要があります。
特に風邪や胃腸炎などで、食事が摂れない時(シックデイ)には注意が必要です。時効型インスリンは必ず打ち、ジュースなどで炭水化物を補いながら、血糖値を測定しつつ即効型インスリンで補正しなければなりません。
また通常時でも、血糖値の振れ幅が大きくなることがあり、低血糖時にはブドウ糖などで補正をすることが必要です。

血糖値がなかなか維持できなくて困っています。どうすればいいですか?

インスリン分泌が低下し、枯渇してしまうこともある1型糖尿病患者さんでは、血糖値が乱高下しなかなか目標値を達成できないケースも多いです。そういった場合は、多少の高血糖は許容しつつ、低血糖をできるだけ避けるように指導しています。HbA1c値は多少高くはなりますが、低血糖が頻発することは身体への負担が大きくなるためです。その上で、食事指導でカーボカウントを学んでもらったり、リブレなどの持続血糖測定を用いることで、より良いコントロールを目指していきます。

担当の医師から食事制限が必要と言われましたが、1型糖尿病の知り合いは食事制限をしていないようです。
食事制限はしなくてもいいのですか?

栄養バランスの整った食事や正しい運動習慣を身に付けている場合、変えずにそのまま続けて頂いて問題ありません。食事療法とは食事制限ではなく、体格や運動量から算出された適切なカロリーを、バランスよく3食取っていただくことが基本になります。もちろん間食が多すぎたり過食の場合は制限が必要ですが、適切なカロリーはきちんと摂取するべきと言われています。その上で、カーボカウントなどによりインスリン量を決めることで安定した血糖コントロールを目指すことができます。