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心筋梗塞

心筋梗塞とは

心筋梗塞とは「心筋梗塞」とは、心筋(心臓の筋肉)に血液・酸素を送り届ける「冠動脈」が詰まり、完全に塞がってしまう病気です。狭心症とあわせて、虚血性心臓疾患に分類されます。
血流が届かなくなった心筋は、壊死してしまい、二度と再生することはありません。さらに心筋が壊死すると、全身へと血液を送り出すこともできなくなるため、早急な治療を行わなければ、最悪の場合には死に至ります。
狭心症と同様に、3本あるうちの冠動脈の詰まった本数に応じて、1枝病変、2枝病変、3枝病変と呼びます。
心筋梗塞のうちのほとんどは、胸痛などが突然現れる「急性心筋梗塞」です。急に血栓が生じ、冠動脈が塞がることで発症します。このページでは、主にこの急性心筋梗塞について説明していきます。

心筋梗塞の原因は?

心筋梗塞の原因は?心筋梗塞の原因は、狭心症と同じく「動脈硬化」です。動脈硬化が進行し、血管の厚みが増したり、血管壁の内側にプラークが溜まることで血液の通り道が狭くなります。そしてプラークが破れることで血栓が出来て詰まることで、血流を止めてしまいます。
狭心症が進行して心筋梗塞を発症することもありますが、いずれにせよ動脈硬化が大きな原因になっていることには変わりありません。
なお動脈硬化の原因としては、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病、加齢などが挙げられます。

心筋梗塞は
どんな人がなりやすいのか

心筋梗塞の原因を考えると、以下のような人が心筋梗塞になりやすいと言えます。また動脈硬化は加齢によっても進行するため、年齢を重ねるほど、心筋梗塞のリスクも高くなります。

心筋梗塞はどんな人がなりやすいのか
  • 糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病がある
  • 肥満の人
  • 狭心症を起こしたことがある人
  • 喫煙をしている人
  • 運動不足の人

心筋梗塞の前兆、症状チェック

心筋梗塞の前兆、症状チェック
  • 突然の激しい胸の痛み(30分以上)
  • 胸の圧迫感、締め付け感
  • 胸やけ
  • 腕、肩、歯・顎の痛み
  • 動悸
  • 冷や汗

心筋梗塞を発症した場合、40%の割合で命を落とします。しかし、心筋梗塞を発症し入院した場合の院内での死亡率は、10%を切ります。いかに早く医療機関を受診できるかが、命をつなぎとめられるかどうかの分かれ道と言えます。
心筋梗塞が疑われる場合には、迷わず救急車を呼んでください。

心筋梗塞の検査

血液検査

心筋が壊死すると、血液中に血液中にタンパク質が漏れ出します。
クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)、CK-MB、トロポニンT、NT-proBNPなどの項目について調べます。

心電図検査

心筋梗塞では心電図におけるST波の上昇が、狭心症ではST波の低下が認められます。
血管の詰まった部位、範囲も推定できます。

心臓エコー検査

心臓の動き、血流の状態などを調べます。心筋梗塞の場合には、心筋に血液が届けられないために、心室の収縮性の低下・消失が認められます。

胸部X線検査

心筋梗塞によって心臓の左側の機能低下(左心不全)が起きている場合には、肺のうっ血、心拡大が認められます。

心臓カテーテル検査

脚の付け根からカテーテルを挿入し、心臓の血管の状態を調べる検査です。
心臓カテーテル検査が必要になった場合には、提携する中核病院をご紹介します。

心筋シンチグラム検査

体内に注入したラジオ・アイソトープ(放射性同位元素)を標識とする血流の流れを測定する検査です。
心筋梗塞を起こしている場合には、その発症部位に向けての集積が認められます。
心筋シンチグラム検査が必要になった場合には、提携する中核病院をご紹介します。

心筋梗塞の治療

心筋梗塞では、発症後の速やかな治療の開始が生死を分けます。
通常、検査と並行して初期治療(血栓溶解療法)を行い、その後手術を行います。
なお、心筋梗塞の治療は、原則として入院した上で実施することになります。

血栓溶解療法

静脈から、血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)を点滴し、冠動脈を塞いでいる血栓を溶かします。
以前はカテーテルを使って直接冠動脈に流し込む治療(経皮的冠動脈内血栓溶解療法)を行っていましたが、現在では静脈からヘパリンという薬剤を注入し、できるだけ早くカテーテル治療(バルーン拡張やステント留置)を行うことが推奨されています。

手術

カテーテル・インターベンション

手や足の動脈からカテーテルを挿入し、バルーンやステントを使って血管を再開通させる治療です。
冠動脈バイパス手術と比べ、より迅速に治療できるため、一刻一秒を争う急性心筋梗塞の場合はカテーテル治療を行うことが多いです。ステント留置を行った場合は、抗血小板薬を生涯飲み続ける必要があります。

冠動脈バイパス手術(CABG)

冠動脈の詰まったところを迂回し、新しく血管をつなぐ(バイパス)手術です。
急性心筋梗塞の場合でも、カテーテル治療が不可能なほどの複雑病変であったり、冠動脈3枝病変であった場合は緊急で冠動脈バイパス術を行う場合があります。

心筋梗塞になった場合の
後遺症は?

心筋梗塞の代表的な合併症としては、心不全と不整脈が挙げられます。心筋梗塞発症後は、これらの合併症と付き合っていかなければならない可能性が高くなります。

心不全

心筋梗塞によって心筋が壊死したために、心臓のポンプ機能が低下し、全身へと十分な血液を送り出せなくなります。
息切れ、疲れやすさ、呼吸困難などの症状が見られます。少し歩くだけで息が切れる、食事をするだけで疲れてしまうといったように、日常生活に大きな支障をきたします。

不整脈

不整脈も、心筋梗塞の合併症としてよく見られます。
心室頻拍や心室細動という致死的不整脈が起こった場合には、命を失うこともあります。